連載 All about 日本のワクチン・17
インフルエンザワクチン—小児を中心に
谷口 清州
1
1国立病院機構三重病院
pp.510-513
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210299
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1.当該疾患の発生動向
日本においてはインフルエンザの発生動向は感染症法に基づいた全国約5,000の定点医療機関(3,000の小児診療科と2,000の成人診療科)からの週単位の年齢群別診断数、500の基幹医療機関からの入院例数、病原体定点医療機関からの臨床検体の提供、超過死亡の評価により、患者発生状況(地域での流行状況)、入院者数(重症度)、流行ウイルスの亜型と抗原性、そして死亡への影響が調査されている1)。そして予防接種法上、年に一度の感染症流行予測調査2)により国民の免疫レベルを評価している。
2020年からのCOVID-19パンデミックの影響により、2020/21、2021/22シーズンは流行が非常に小さく、国民のインフルエンザに対するHI抗体価保有率は過去の半分以下となり2)、この反動で2022/23の流行は当初はパンデミック対策の影響を受けて小さかったものの、地域での感染症対策の縮小と共に流行は2023年春から夏まで小さいながらも継続し、秋より急速に流行が広がり、2009年のインフルエンザA/H1N1pdm09のパンデミックと同様の流行曲線を描いている(図1)3)。人間界におけるインフルエンザウイルスはA型のH3N2亜型(A/H3N2)とH1N1亜型(A/H1N1pdm09)、B型のVictoria系統とB型のYamagata系統の4種が存在して流行を繰り返しているが、2022/23シーズンの流行株は当初A/H3N2が主流であったが、2023年冬季にかけてA/H1N1pdm09およびB/Victoria系統が増加しつつある。
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