連載 All about 日本のワクチン・3
インフルエンザワクチン—成人を中心に
池松 秀之
1,2
1日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班
2(株)リチェルカクリニカ
pp.246-249
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210010
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1.当該疾患の発生動向
インフルエンザの発生動向は国が行う発生動向調査により、定点観察が継続されている。毎年冬季に流行が繰り返されている。流行しているのは、A型ではA(H1N1)pdm09亜型とA(H3N2)亜型の2つの亜型、B型では山形系統とビクトリア系統の2系統である。流行するウイルスのパターンは毎年のように変わっており、予測をすることは難しい(図1)1)。日本では、新型コロナウイルス感染症の流行が見られるようになった後、インフルエンザの大きな流行は見られていない。最後の2019-20年シーズンはほとんどがA(H1N1)pdm09型で、2020年の3月以降から2022年10月現在まで、どの型、亜型も国内で流行していない。
2021/22年シーズンに北米ではA型の流行が見られ、亜型が判定されたものはほぼA(H3N2)であり、南半球のオーストラリアなどオセアニア地区でも2022年7月からA型の流行が見られ、亜型が判定されたものはほぼA(H3N2)であった2)。国内でも既に少数ながら分離されているウイルスはほぼ全てがA(H3N2)である3)。2022/23年シーズンに日本で再び流行が起こる場合には、A(H3N2)が主体となることが予測されるが、他の型・亜型の流行も否定できない。
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