連載 [連続小説]コロナのない保健所の日記・10
この組織、どうする?
関 なおみ
Naomi SEKI
pp.105-116
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210227
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十二月一日 火曜日 曇り 映画の日(だが、行く心の余裕がない)
その日は午後から来年度の健康部(保健所)の組織改正(1)について話し合うことになっていた。会議室に向かう途中、風邪気味の羽田係長が、ピンクの不織布マスクをしたまま、ハスキーボイスでこれまでの経緯を説明してくれる。
「橘先生が来る前は、感染症は別として、地区活動を行う保健師が健康部(保健所)の健康推進課、福祉部の障害者福祉課、高齢者福祉課、介護保険課と、分野別に分かれて配属されていたんです。つまり、健康推進課の地区担当保健師は母子の事例全般、虐待の疑いがあれば子ども家庭支援センター、精神障害者は障害者福祉課、元気高齢者は高齢者福祉課、介護保険を申請した人は介護保険課、というように、専門分野別になってたんです。」
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