Ex Laboratorio Clinico・28
風疹ワクチン
高橋 理明
1
1大阪大学微生物病研究所・麻疹部門
pp.382-387
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915071
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風疹感染による奇型の発見
風疹の症状ははしかに似ていてはしかよりも軽いことから三日はしかとも呼ばれ,古くからあった病気であるが,小児の疾患としてはそれほど重要視されていなかった.しかし1941年オーストラリアの眼科医Greggが小児の先天性白内障について母親を問診しているうちに,母親がその子供を妊娠している初期に風疹に罹患していたことが多いこと及び,それらの子供は先天性心疾患をも併せ持っていることが多いことに気付き,母親の妊娠中における風疹の罹患がこれらの先天性疾患の原因であろうと発表した1).これは大きな反響を呼び,その後続々とこれを確認する成績が発表され,先天性奇型の原因として風疹感染が非常に重要視されるようになってきた.
風疹が原因と分かっている先天性疾患としては現在図1のごとくたくさんあるが,そのうち主なものは眼疾患,心疾患及び耳疾患である.これらの先天性疾患児が風疹罹患妊娠母体からどのくらいの割合で出生するかについては研究者によって異なるが,かなりの高率であるとされていた.しかしこれらの発表時には風疹ウイルスがまだ分離されておらず,したがって風疹の診断は必ずしも確実とは言えないうらみがあった.
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