連載 衛生行政キーワード・145
救急医療・災害医療を取り巻く課題とこれから
中村 洋心
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1厚生労働省医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
pp.1040-1042
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209959
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はじめに
2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、救急医療、災害医療にも大きな影響を与えた。わが国においては、2005(平成17)年より、大規模地震等の災害時に地域において必要な医療提供体制を支援するため、災害派遣医療チーム(disaster medical assistance team: DMAT)の養成を行っていた。DMATは新型コロナウイルス感染症の流行のさなか、ダイヤモンド・プリンセス号や都道府県の本部において、その機動性と災害医療マネジメントの知見を活用し、感染症患者の入院・搬送調整に係る支援を行うとともに、感染症の専門家と協力して感染制御と業務継続の両面の支援が可能な支援チームを形成し、介護施設等においてクラスター対応を行った。
一方、救急医療においては、特に2022年初頭からのオミクロン株の流行により患者が増加した際に、コロナ医療の逼迫と相まって、新型コロナウイルス感染症を疑われない患者も含めて、搬送先が決まるまでに時間を要する事案が増加してしまうなどの問題が生じた。
本稿においては、救急医療・災害医療の歴史を振り返りつつ、課題とこれからについて述べる。
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