予防と臨床のはざまで
はじめての学会発表〜現場の活動を学会へ
福田 洋
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1順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座
pp.196
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209795
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臨床疫学ゼミについてはこの連載でも多く取り上げてきました。ミシガン大学公衆衛生大学院疫学セミナーにヒントを得て2008年7月に開講し、疫学統計への「興味」、社内「会議」のプレゼン、「学会」での発表、「論文」にまとめたいというレベルの異なるゴールに対して、同じ場で学び合うことに意義があるというポリシーのもとに運営してきました。産業保健などの現場での取り組みを学会で発表することに対して、ハードルを感じる人は多いと思います。第123回と第124回の臨床疫学ゼミONLINEでは、直近に開催された第29回日本健康教育学会学術大会での学会発表にフォーカスして、そのハードルの突破に役立つと思われるヒントやエッセンスについて4人の方から発表していただきました。
第123回(2021年10月15日開催)の1人目の演者は、「はじめての学会発表」をテーマに前田菜月氏(医療法人社団同友会)にお話しいただきました。前田氏にとって、日本健康教育学会での特定保健指導の3カ月および6カ月支援の効果差についての報告が、まさにはじめての学会発表でした。そのために半年以上前から準備し、抄録やスライドを作成してきました。ゼミでは「学会発表が完成するまでの道のり」と題して、先行研究や参考文献の読み込み、統計解析の苦労、分かりやすい図表を作るための工夫、学会抄録や発表スライド作成の作法、さらにこれらを日常業務の合間を縫って行うことの大変さについてお話しいただきました。完成した学会発表を聞く機会は多いですが、発表準備の裏側を聞ける機会は貴重です。学会発表で誰もが通る道ではありますが、改めて聞くと、一緒に準備してきた半年間が脳裏に浮かびました。
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