連載 クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション・12【最終回】
インフォデミックへの対処法:偽情報より心をつかむためにできること
蝦名 玲子
pp.186-194
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209794
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先月号では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対応の困難事例として、自宅療養とスティグマについての対応を取り上げたが、同様に難しいのが、インフォデミックの処理である。
インフォデミックとは、「information(情報)」と「epidemic(急激な伝染)」から成る造語で、感染症などに関する正確な情報と、誤解を招き有害となりかねない不正確な情報の両方が、急速かつ広範囲に広がることを意味する。新型コロナの流行下でも、インターネットで事実だけでなく誤情報、デマやうわさなどが混ざり合い、拡散され、情報が過多状態となり、正確な科学的根拠に基づく知見や助言を見極めるのが難しくなった。こうした現象に対し、WHOがインフォデミックが効果的な公衆衛生への対応を妨げ、人々の間に混乱と不信を生み出す可能性があると注意喚起をした1)ことは記憶に新しい。
そこで今月号では、このインフォデミックへの対処法を探求していく。
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