映画の時間
—がんと,はじめて出会う.—がんになる前に知っておくこと
桜山 豊夫
pp.163
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209085
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1952年に公開された「生きる」(黒澤明監督/東宝)では,志村喬が演じる主人公の胃がんが分かった時,主治医はがんを告知せず,胃潰瘍という診断名を告げていました.すでに進行しており,当時の医療技術では治療の時期を失していたからでしょう.1975年の「化石」(小林正樹監督/東宝)では,佐分利信が演じる主人公が旅行中のフランスで,進行した膵臓がんで治療不可能という診断を知り,死を覚悟してヨーロッパを回ります.両作品とも名作の誉れ高い映画ですが,製作年代と,がんの告知との関連を考えるのも面白いかもしれません.
日本人の二人に一人が「がん」になるといわれる現代です.がんは告知される病気になりました.しかし,「がん」というと,まだまだ恐ろしい病気というイメージが先行している気がします.今月ご紹介する「がんになる前に知っておくこと」は,「がん」をただ恐れるのではなく,正しく知ることに資するために製作されたドキュメンタリー映画です.
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