特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題
放射線被ばくの影響と,そのメカニズム
細井 義夫
1,2
1東北大学大学院医学系研究科放射線生物学分野
2東北大学災害科学国際研究所災害放射線医学分野
pp.824-829
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209006
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
細胞が放射線に被ばくすると,DNA(deoxyribonucleic acid:デオキシリボ核酸)に損傷が生じる.細胞には放射線によるDNA損傷を修復する機能が備わっているが,必ずしも完全に修復できるとは限らない.DNA損傷の修復に失敗した場合には,重要な遺伝子を消失することによって細胞死の原因となったり,発癌や遺伝性影響の原因となったりすることがある.臓器・組織を構成する細胞に多数の細胞死が生じると,臓器・組織に「臨床的に意味のある機能障害」が生じる.
本稿では,放射線によるDNA損傷,臓器・組織や個体の放射線影響,外部被ばくと内部被ばくによる放射線影響について概説する.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.