特集 発達障害者支援の到達点—新しい支援の枠組みを考える
扉
西牧 謙吾
1
1国立障害者リハビリテーションセンター病院
pp.349
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208884
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発達障害者支援は,障害福祉の枠組みに収まらず,児童福祉,教育,就労,司法など幅広い分野で大きな課題となっている.その背景には,育てにくい子ども,学校で落ち着かない子ども,不登校になる子ども,いじめに遭う子ども,大学で学業が続けられない学生,就職試験に受からない学生,就職しても長続きしない人,犯罪を繰り返す人の中に,いわゆる発達障害や軽度知的障害のある人の存在が明らかになってきたことがある.
発達障害者支援の難しさは,社会適応が良好な人がいる反面,高学歴でも社会適応の悪い人もいて,従来の障害福祉的考え方では捉えきれない点にある.また,定型発達者と発達障害者の境目がはっきりせず,その実数を明らかにすることも困難であるため(学齢期の6.5%が発達障害者であるという文部科学省の統計データがある),対策の網の目は粗くならざるを得ない.早期発見,早期対応という従来の児童発達支援の考え方だけに基づかないで,年齢によらず,診断がなされたときから,しっかりした支援が受けられる体制づくりが求められる.
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