今月の主題 認知症のプライマリケア
扉
宇高 不可思
1
1住友病院神経内科
pp.1039
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102766
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認知症(痴呆症)とは,一定水準にまで発達した知能が後天的な疾患により障害され,生活に支障をきたすようになった状態である.原因疾患のうちで最も多いものは神経変性疾患であるアルツハイマー病,脳血管障害による血管性認知症の二者であり,レビー小体型認知症がそれに次ぐ.治療可能なものもあるが,大部分は緩徐進行性で,生命予後も数年ないし十年程度に過ぎない.進行につれて周辺症状やADLの低下をきたすため,周辺症状の緩和,ADLを少しでも長く維持すること,介護負担の軽減が主な課題となる.
85歳ぐらいまで長生きすると1/3ないし半数もの人がアルツハイマー病を発症するといわれる.その原因はまだ完全には解明されていないが,注目されるのは,生活習慣病としての側面,すなわち脳血管障害の危険因子である高血圧や糖尿病,高脂血症などがアルツハイマー病の危険因子でもあるらしいことである.アミロイド仮説に基づく原因療法のほかに,血管系危険因子への治療介入によって発症,進展を多少とも抑制できる可能性が開けてきたことは,大いに期待されよう.
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