映画の時間
—カトリーヌ・ドヌーヴ×カトリーヌ・フロ フランスを代表する2大女優が,人生を彩るメッセージを届けてくれる—ルージュの手紙
桜山 豊夫
pp.1027
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208801
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歴史的に古くからある職業のひとつに「助産師」があります.エジプトでは紀元前から助産を重視していた記録があるようです.現在でも,時代を担う子どもの出産を助けるという感動的な職業です.今月は,助産師が主人公である「ルージュの手紙」をご紹介します.
フランスの地方都市の病院に勤務する助産師として活躍しているクレール(カトリーヌ・フロ)のもとに1本の電話が入ります.それは,30年前に突然家を出た「母親」からのものでした.母親といっても,クレールにとっては義理の母親.クレールの母の死後に再婚した父親の妻だったベアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)からです.すぐに会いたいというベアトリスにクレールは戸惑いながらも,彼女の住むパリに向かいます.血のつながった実の母親であっても,30年間,音信不通であった後の再会には戸惑いがあるでしょうに,ベアトリスは継母です.複雑な思いを持って継母を訪ねるクレールの様子を描写しながら,この親子の間にある複雑な状況を観客に想起させるプロヴォ監督の演出が光ります.
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