特集 予防接種政策
扉
pp.537
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208696
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WHOが現在推進しているThe Global Vaccine Action Planでは,2020年までの目標を,世界中のすべての人々がワクチンで予防できる疾患VPD(vaccine-preventable diseases)に罹患することなく生活を楽しめる社会の実現を目指すとしています.これは,2020年までに予防接種による最大限の恩恵を(発展途上国を含めた)世界中の人々にもたらすことを使命とする計画です.わが国は先進工業国であるにもかかわらず,予防接種法に基づく定期接種の対象疾患数や使用できるワクチンの種類が欧米諸国よりも少なく,いわゆる“ワクチンギャップ”が指摘されていました.
最近の予防接種法等の改正によって,ワクチンギャップはかなり解消されてきていますが,一方で,最近は新しいワクチンの開発・承認が相次ぎ,VPDは増加しています.乳幼児期の予防接種のスケジュールや接種方法の工夫(例:複数ワクチンの同時接種),接種後の副反応や有害事象に対する相談体制の強化などが求められています.また,VPDに対する予防接種の普及による効果(対象疾患の流行阻止)や,副次的な影響(病原体流行株の遺伝子型等の変化)の評価なども今後の予防接種政策を検討するうえで重要な課題となっています.加えて,新興感染症(エボラ出血熱,ジカウイルス感染症など)や再興感染症(結核,マラリアなど)に対するワクチン政策,根絶に向けた最終段階でのポリオ予防接種戦略,および海外渡航者の増加に伴うトラベラーズワクチンなどへの関心も高まっています.
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