「公衆衛生」書評
—松田 晋哉 著—詳細な分析による未来への挑戦の書『地域医療構想をどう策定するか』
井部 俊子
1
1聖路加国際大学
pp.350
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208427
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わが国が「少子高齢社会」であることは周知の事実である.しかし,その様相は地域によって異なることはあまり認識されていない.
本書によると,例えば北九州市の場合,2000〜2010年までは若年層の人口流出が相当あったが,今後その影響は小さくなり,高齢者層の死亡数の増加により人口が徐々に減少していく.その結果,2030年には後期高齢者(特に女性)の数が増大する.傷病別入院受療率に基づく推計によると,2040年に肺炎が40%,骨折と脳血管障害が30%強増加することが予測される(p.2).そのかなりの割合で認知症が併存する.既に要支援・要介護状態にある高齢者の急性期のイベントにどのように対応するかが今後の課題となる.
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