「公衆衛生」書評
—松田 晋哉 著—地域の事情に応じた医療提供体制を創造するために『地域医療構想をどう策定するか』
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部
pp.220
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208388
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本書の著者は,厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン」の基盤となるデータ整備で中心的な役割を果たしている産業医科大学教授の松田晋哉氏である.
松田氏は,地域医療構想の目的は病床削減ではなく,地域の実情に応じた医療提供体制を関係者間の合意に基づいて作ることであると指摘する.低成長下の少子超高齢社会における医療制度の改革は,国民を含む関係者全員に何らかの痛みをもたらすものにならざるを得ない.そもそも,現状維持では,なぜうまくいかないのか.地域の医療をめぐる課題をデータで客観的に把握し,それをどのような理念に基づいて解決するかについて合意形成を図ることが,改革を進めていくための前提条件になる.
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