書評
「基礎から読み解くDPC―正しい理解と実践のために 第2版」―松田晋哉 著
島本 和明
1
1札幌医科大学病院
pp.909
発行日 2007年10月20日
Published Date 2007/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101280
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大学附属病院をとりまく医療環境は最近,大きく変わりつつあるが,なかでも最も大きな要因として独立行政法人化,卒後研修の義務化,そしてDPC制度の導入がある。DPC制度は,2003年4月より特定機能病院において開始され,2006年度からは対象が大きく拡大してきている。病院の経営改善が叫ばれる現在,DPC制度は少なくとも現時点では経営を圧迫するものとはなっていない。ただし,大学病院(特定機能病院)の急性期医療への役割分担の期待,そしてその方向へ行政指導が強まる中で,病床利用率を維持したままで在院日数縮小を図らざるを得ない状況となっている。そのような意味では,DPC制度の理解と応用が,病院本来の戦略を確立していくうえで重要となる。
『基礎から読み解くDPC』は,DPC制度を立ち上げのときから,立案・普及に尽力してきた松田晋哉先生が,専門家・指導者の立場で,わかりやすくDPCとは何か,そしてDPCの応用について書かれていたもので,DPCに関わる医療関係者にとっては必読の書であり,多くの医療関係者に福音をもたらしてくれた名著である。DPCの平成18年度改正に対応して今回,第2版が刊行された。対象病院が大学附属病院より拡大され,DPCのもつ意義も,特定機能病院から急性期医療を中心とする一般病院へと広がり,医療界全体の大きなテーマとなりつつある。
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