映画の時間
―生命のつながりに起きていること―みつばちの大地
桜山 豊夫
pp.364
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103016
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ミツバチのアップから映画が始まります.大画面のなかで女王蜂の世話をする働き蜂.ミツバチが人間のようにも見え,宇宙人のようにも見えます.甲斐甲斐しく働くミツバチを愛おしく感じます.女王蜂誕生の瞬間には感動さえ覚えます.今月は,ミツバチをこんなにも綺麗なマクロ映像で撮影したドキュメンタリー映画,「ミツバチの大地」をご紹介します.世界初と思われる映像で溢れています.
ミツバチというと,まず思い浮かべるのは蜂蜜です.舞台はスイスの山岳地帯へ移ります.フレッド・ヤギーは代々続く養蜂家の家系です.養蜂業を継ぐ気はなかったようですが,父親から「家業を継がないのであれば,ミツバチを処分する」と告げられ,「処分するくらいなら自分が継がなければならない」と考えたと言います.養蜂は手間のかかるたいへんな仕事だろうと思いますが,冒頭の美しいミツバチを観たあとの観客は,フレッドの選択を納得できるでしょう.イムホーフ監督の上手な展開だと思います.フレッドは在来種のミツバチを使った伝統的な養蜂にこだわっています.それぞれの土地には,その土地に適した種が存在しているはずだという考え方は,ミツバチだけのものではないでしょう.
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