映画の時間
—記憶はあたかも,重力のような力で私たちの心を捉え続ける—光のノスタルジア/真珠のボタン
桜山 豊夫
pp.813
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208312
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「サンチャゴに雨が降る」(エルヴィオ・ソトー監督,1975,フランス・ブルガリア)という映画がありました.1973年にチリで起こった軍事クーデターを描いた作品です.サンチャゴに雨が降る,というのは,ラジオがクーデターの発生を伝える暗号でしたが,その後の軍事政権下での弾圧を暗示しているとも思えます.
今月は,ピノチェト将軍によるクーデターと,その後の軍事政権による弾圧を中心に,人間による愚行を描いた,パトリシオ・グスマン監督による2つの作品をご紹介します.両作品ともドキュメンタリー映画ではありますが,叙事詩ともいうべき作品に仕上がっています.
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