特集 医療情報の利活用
イギリスにおける医療情報の活用の課題と展望
堀 真奈美
1
1東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
pp.619-623
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208258
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患者の消費者意識の向上やIT技術の高度化を背景に,医療情報への社会的ニーズが急速に高まっている.日本では,医療機関がウェブサイト等を通じて自らの医療機関や治療に関する情報提供を行うのが一般的になりつつあるが,複数機関間で比較可能な系統的な情報とは必ずしもなっていない.ここ数年は,医療の効率化と質の向上,安全性の確保を実現する手段として,医療情報の利活用に注目が集まるようになってきたところである.
一方,本稿の考察対象となるイギリスは,国営の医療提供体制であることから,国の公共投資によって医療情報の利活用が進められている.施設ごとの治療までの待機期間や施設の清潔さ,スタッフの労働環境,財政状態,患者への応答度,手術後の死亡率など多様な情報が他の医療機関と比較可能な形で入手可能となっている.また,EBM(科学的根拠に基づく医療)の推進がはかられており,医療知識や医学に関する情報の蓄積,公開も日本以上に進んでいる.
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