特集 公衆栄養への期待
扉
pp.509
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208231
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健康づくりの三本柱(栄養,運動,休養)の中でも栄養は,各種疾病の原因や発症機序および治療法が不明であった時代からその重要性が認識されていました.例えば英国の結核死亡率は,コッホによる結核菌の発見(1882年)よりも前から減少傾向を示し,1840年頃から1960年代までの死亡率減少の大部分は抗結核薬の導入以前に達成されたものであり,死亡率減少の最大要因は栄養状態の向上であったと考えられています.
近代の公衆衛生においても,栄養・食生活改善の重要性は高く認識されており,わが国では1960年代から「公衆栄養」という言葉が使われています.日本公衆衛生学会でも,1990年の総会から「公衆栄養」が分科会名に採用されています.2014年11月に開催された第73回日本公衆衛生学会総会(宇都宮市)においても,「公衆栄養」の分科会は演題数が多く,関連の教育講演(2015年版の食事摂取基準,高齢者の低栄養などがテーマ)およびシンポジウム(長寿を支える「健康な食事」などがテーマ)も盛況でした.
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