特集 熱中症
日常生活における熱中症予防
星 秋夫
1
,
樫村 修生
2
1桐蔭横浜大学大学院スポーツ科学研究科
2東京農業大学国際食料情報学部
pp.388-392
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208198
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環境(気象)要因
熱中症の発症は,環境条件を十分に把握し,環境条件に応じた運動や休息,水分補給,塩分補給等の適切な予防措置を講ずることにより,未然に予防することができることから世界各国で様々な予防対策が講じられている.そして,熱中症発症の最も大きなリスク要因は暑熱環境である.暑熱環境要因は気温の他に湿度や気流,輻射熱等の多くの因子が含まれる.これらの気象条件を考慮した温熱指数がWBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)である.元々WBGTは,軍隊訓練の熱中症予防を目的として1957年にYaglou & Minard1)によって提案された指標である.その後,運動時や労作時における暑熱環境の指標として有用であることが欧米諸国で報告され2,3),現在では世界的にはISO-7243,国内ではJIS-Z8504として規格化されている.
わが国において,熱中症予防の指標としてWBGTを利用することが多く,日本体育協会からは運動時,日本産業衛生学会からは労働作業時,日本生気象学会からは日常生活時の熱中症予防指針が公表されている.
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