特集 STDの理解とケア
効果的な保健指導
北村 邦夫
1
1(社)日本家族計画協会クリニック
pp.221-226
発行日 1997年3月25日
Published Date 1997/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901665
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はじめに
近年リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)という言葉が,メディアなどに登場する機会が多くなった。WHO(世界保健機関)では,①安全に妊娠,出産が行なわれること,②避妊,家族計画のサービスを受けられること,③新生児が健やかに育てられること,④エイズやSTD(sexually transmitted diseases:性感染症)の恐れなしのセックスが可能になることなどを,リプロダクティブ・ヘルスの4大要素と位置づけている。読者の多くが,“助産婦こそリプロダクティブ・ヘルスの担い手”であると自覚していると思うが,その意味からは,妊娠,出産,家族計画,育児に関する指導など従来の助産婦業務に加えて,エイズを含めたSTDの防止に果たすべき自らの役割を認識しなければならない。
本稿では,新しい時代の要請に応えようとする助産婦が,STDの保健指導に当たる際の手がかりを示したつもりである。抽象的,総論的な概念の説明を避け,私どものクリニックで体験した若い世代のSTD事例から,実際的,具体的な保健指導のあり方を探ることとした。
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