特集 熱中症
産業保健と熱中症
澤田 晋一
1
1独立行政法人労働安全衛生総合研究所
pp.405-410
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208202
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,日本の夏の平均気温は上昇傾向が続いている.2010年と2013年の夏は,記録的猛暑によって熱中症が多発した.その上2011年3月に起こった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故により,職場の熱中症のリスクは,夏季における建設業を中心とした従来からの屋外作業のみならず,原発廃炉作業・除染作業,震災復旧・復興作業,節電を要請されるオフィスや製造業などの屋内作業にまで拡大している.このような状況への行政的対応として,2013年4月から始まった国の第12次労働災害防止計画では,取り組むべき重点課題として熱中症対策を明記している1).
本稿では,まず職場における熱中症の最近の発生動向と発生事例の特徴を概説した上で,行政や実際の労働現場で取り組んできた熱中症予防策や取り組み事例を紹介する.また熱中症のハイリスクグループである有症労働者への対応としての健康診断や日常の健康管理の重要性,さらに職場の節電による熱中症への影響についても言及したい.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.