特集 先端科学技術と公衆衛生
先端科学技術と医用工学
藤正 巌
1,2
Iwao FUJIMASA
1,2
1東京大学先端科学技術研究センター
2東京大学医学部医用電子研究施設
pp.810-814
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208073
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■はじめに
「先端技術」,それは,これからの医療を支えるために最も期待をかけられている技術である.その一方で,今日の多くの高度医療技術に対する一種の不安感が,一般の人々にあるのも否めない.最新の技術を駆使すれば,人の生命の制御ですら十分に可能であるようにも見え,巨大機械に囲まれた生命維持の恐怖を感ずる人もいる.
人生における強制的な生命維持の価値と死亡の費用の経済学が,個人の問題としてより,社会の問題として取り上げられはじめているのは,現代の高度医療技術が,意味のない延命に使用されているのではないかという,一般市民からの問いかけであり,裏を返してみれば,現在の医療の未熟さがそこにある.
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