海外事情
ASEAN健康開発研究所における国際的人づくり
田口 徹也
1
Tetsuya TAGUCHI
1
1高知医科大学衛生学教室
pp.792-795
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208068
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1981年1月,当時の鈴木善幸首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を歴訪した.わが国の政府はこれを機会に,新しい国際協力の一つとしてASEAN人づくりプロジェクトの発足を提唱した.同年6月,タイ国がこれを受けてPrimary Health Care(PHC)のための訓練センター創設を要請してきた.周知のようにPHCとは,1978年に世界保健機関(WHO)が主催してソ連邦カザフ共和国の首都アルマ・アタで開かれた国際会議で採択された標語,Halth for All by The Year2000を実現する鍵として強調された概念である.PHCには,栄養改善,安全な水の供給,家族計画を含む母子保健,主な感染症に対する予防接種,通常の病気や外傷に対する適切な治療,そして一般的な保健教育などいずれも開発途上国における当今の保健医療問題を考える際に重要な内容が含まれている.
1982年2月,日本政府の無償資金協力によってASEAN Training Center for Primary Health Care Development(略称ATC)の建設が開始された.場所はタイ国のマヒドン大学サラヤ校である.
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