特集 地域保健情報のシステム化
地域保健医療情報—長寿社会を健やかで安らかな社会に
福原 毅文
1
Takefumi FUKUHARA
1
1厚生省健康政策局総務課医療技術開発室
pp.538-541
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207995
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■長寿社会は情報活用時代
情報の時代といわれてすでに久しい.赤道上の静止軌道にある放送衛星からの24時間テレビ(TV)は,リアルタイムで茶の間(現代風にいえばリビングルームまたはベッドルームか)に世界中の出来事を克明に伝えているし,求めたい情報は情報誌によるサーチと,そこにも掲載されている各種の電話サービスでもって事が足りるようになっている.これらの情報媒体は,現在のところ(肉体的または精神的)若者の独占物の感がある.しかしこれからは,以下に述べるような理由で,人口構造の10数パーセントを占める,経済的にも時間的にも,また,精神的にも"相対的な余裕"を有するとみられるシルバー世代と,それほどの余裕はないが,人口構造の中核を占めている団塊の世代に属する人々により,活発に利用されるようになっていくであろう.すなわち,これらの人々は,生活環境の改善や医学・医療の進歩により,いわゆる限界寿命(一説によれば85歳)に限りなく近づくまでに寿命の延長(長命)を獲得し,過去において日本人が経験することのなかったほどの長い人生を生きるという恩恵を被ることにはなるのだが,その一方で,彼らは,かくも長き人生をいかに豊かで活力ある「長寿にふさわしい実り多き人生」とするか,といった非常に困難な,しかし,極めて重要な課題を課せられることにもなる.
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