辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
長寿社会と病院
山口 昇
1
Noboru YAMAGUCHI
1
1公立みつぎ総合病院
pp.344
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900620
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人生80年という本格的な長寿社会を迎えて,地域のニーズが多様化し,医療の質の転換が叫ばれている.従来の病院は,“病気”の治療に専念し,“病人”をみる医療に欠けていたきらいがあったように思われる.これからの高齢社会では,治療医学のみでなく,予防医学からアフターケアまでをも含む,幅広い医療が必要とされるのである.
国は昭和58年老人保健法を施行したが,その内容をみると,健康管理からリハビリ等の後療法までを含む間口の広い包括的なものとなっている.私は,いわゆる包括医療とは,保健,医療,後療法,場合によっては福祉との連携をも意味する,と理解しているが,今日のような高齢社会では,保健・医療・福祉の連携が必要なのは当然のことであろう.
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