特集 保健予防活動—保健所の戦術と戦略
精神保健事業—文京区における5年間の全ケースの分析を通して
佐々木 昭子
1
,
元永 拓郎
2
Shoko SASAKI
1
,
Takuro MOTONAGA
2
1文京区小石川保健所保健課
2東京大学医学部保健学科精神衛生学教室
pp.243-247
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207910
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
文京区では昭和62年度医学技術協力研究として,東京大学医学部保健学科精神衛生学教室との共同で,保健所における精神保健活動の全体像の統計的検討を行った.保健所に持ち込まれる問題は多様であり,その対応も事例に応じてさまざまである.本研究の目的は全体としてどのような相談が,どのような経過を経て保健所に持ち込まれ,保健所がどのように対応したかを検討することにより,保健所の精神保健活動の実態を明らかにし,将来の方向性を見出すためのものである.
文京区は人口18.7万人で二つの保健所,小石川保健所(管内人口10.3万人)と本郷保健所(管内人口8.4万人)がある.保健婦数は各々10人,9人の計19人であり,1保健婦当たり住民約1万人である.文京区の老人人口は13.1%(昭和63年1月1日現在)で全国平均,都平均を上回り,高齢者対策が区の重要課題であり,保健所の事業も節目健診をはじめ,老人保健法関連の事業が大きな比重を占めている.精神保健事業としては各保健所で,月2回の精神科医による定期精神保健相談と年1回の精神保健講演会を行っており,平成元年度より本郷保健所で社会復帰事業(デイケア)を開設する予定である.保健婦の全訪問件数に占める精神保健訪問件数は10.7%,所内面接や電話・手紙等を含めた全相談件数に占める精神保健相談件数は20.3%である(昭和62年度実績).
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.