特集 老人保健法—4年が経過して
老人保健法と医師会の対応—医療以外の保健事業の展開を中心に
坪井 栄孝
1,2
Eitaka TSUBOI
1,2
1福島県医師会
2慈山会医学研究所付属坪井病院
pp.108-113
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207420
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■はじめに
現行の老人保健法は昭和57年8月17日に公布されたが,実際に全国的に施行されたのは昭和58年2月1日であるから,満4年を経過したことになる.老人保健法が誕生した経緯は今更述べる必要もないが,高騰する医療費の伸びに歯止めをかけようとする国の施策であり,とくに増加のはなはだしい老人医療費の節減が目的であることには間違いない.この法案が最初に国会に提出されたのは昭和56年5月15日である.当然それ以前から種々論議はされており,当時の日本医師会の対応については「老人医療に関する日本医師会の考え方」,「老人医療の緊急具体化項目について」などで具体的にみることができる.駄足ながらその内容をみると,今回の保健事業第2次5ヵ年計画に打ち出されている諸項目が,すでに当時そのまま盛り込まれておりはなはだ複雑な思いがする.
ともあれ,はじめて国会に提出されてから何回か修正が加えられつつも審議が継続されたのであるが,当時の日本医師会の対応は,①支払方式の2本建てに反対し,②出来高払い制を堅持する,③老人医療機関は新設しないこと,の3点にしぼられ,自民党幹部との話し合いでは了解が得られ,実質的には廃案になったごとく執行部は考えていた.
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