調査報告
職場における勤務者の精神身体健康度—CMIによる調査の8年間の変化
小椋 力
1
,
中久喜 克子
2
,
渡辺 武夫
2
,
森田 昌功
2
,
春木 宥子
2
,
国元 憲文
1
Chikara OGURA
1
,
Katsuko NAKAKUKI
2
,
Takeo WATANABE
2
,
Masanori MORITA
2
,
Yūko HARUKI
2
,
Norifumi KUNIMOTO
1
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
2日本電信電話公社健康管理所
pp.65-71
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206987
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1)全国に職場を有する1企業の中国地区職員のうち,昭和58年10月現在,管理職者である2,574人のうち2,387人(92.9%)に対して,CMI健康調査表を用いて精神身体の健康度を調べた.一部の者には精神科医が面接し精神医学的診断を行った.今回と同一の調査を8年前に,同一の職場の管理職者を対象にして行っているので,8年間の変化を検討した.
2)CMIの成績を深町の判別図でみると,神経症に罹患していると考えられる領域IVは56人(2.3%),神経症の可能性のある領域IIIは226人(9.5%)で,領域III+IVは他の職階に比較して係長に多い傾向が(P<0.1),部(局)長に明らかに少なかった(P<0.005).
3)各質問ごとにみると,「疲れ易い」については841人(35.2%),「くつろぐ余裕がない」は530人(22.2%),「死にたい」は65人(2.7%)がそれぞれ肯定しており,これらは係長に高率に認められた(P<0.05〜0.005).
4)CMIの成績を8年間で比較した.深町の判別図による判定では差はなかったが,「疲れ易い」は9.3倍,「死にたい」は6.8倍と著しく増加し,「いつもくよくよしている」,「決断困難」なども有意に増加していた(P<0.005).これらの増加は,課長,係長で目立った.
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