調査報告
耐糖能異常者175名の7年間追跡調査—耐糖能および関連検査項目の推移の検討
成瀬 優知
1
,
鏡森 定信
1
,
渡辺 正男
1
,
鈴木 祐恵
2
,
藤岡 忠治
2
,
莇 正三
2
Yuchi NARUSE
1
,
Sadanobu KAGAMIMORI
1
,
Masao WATANABE
1
,
Hiroe SUZUKI
2
,
Tadaharu FUJIOKA
2
,
Shozo AZAMI
2
1富山医科薬科大学医学部保健医学
2城北病院
pp.284-292
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206852
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■はじめに
糖尿病患者の病態判断には,糖代謝,脂質代謝,インスリン分泌能,合併症等の各面からの検索をもとに総合的になされている,特にその中でも糖負荷試験(以下GTTと略)は,現在において最も重要な位置を占めており,その分類法である糖尿病の診断に関する委員会報告1)に従って実際の指導も行われている.
一方,近年糖尿病患者の死亡構造は,心血管病変等の慢性合併症が大勢を占めており2,3),このことからも,糖尿病は高血圧とともに心疾患の危険因子の1つにあげられている.しかし,GTTによる糖尿病型,境界域型への分類,そしてそれを基にしての心疾患の予後の判断には,今なお不明な部分が少なくない.確かにGTTは生体の糖代謝を総合的に知るうえですぐれた検査法である.しかしGTTの成績は検査時点での多くの因子の影響を受ける4),さらにGTTで初めて異常を指摘された人では,その後数年間GTT成績の結果は大きな変動をとりやすいといわれている5,6).特に境界域型は様々なタイプの耐糖能異常が混在して一層複雑である.
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