特集 アルコール問題
「家族全体の病」としてのアルコール家族
榎本 稔
1
Minoru ENOMOTO
1
1東京工業大学保健管理センター
pp.802-807
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206793
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■はじめに
酒は古今東西あらゆる民族がそれぞれ独特の製法で,数百種類のアルコールをつくり,さまざまな儀礼と様式で飲み伝えてきた.そして歴史とともに,飲酒は社会・家族変動のもとで,アルコール依存(症)を醸成し,家族をその渦中に巻き込み,家族葛藤を惹き起し,家族崩壊へと導いている.アルコール依存症は社会文化的問題を内蔵し,心の病いに翻弄され,身体的疾患に冒された存在であるが,その治療教育を東京のN病院アルコール専門病棟(全開放)において行っている.その治療構造の一翼に「家族教室」(毎週火曜日午後)を開いて家族療法を行っているが,その治療教育過程から得られた「家族全体の病」としてのアルコール家族を粗描していくことにする.
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