特集 アルコール問題
適性飲酒と内科医
上野 幸久
1
Yukihisa UENO
1
1川崎中央病院
pp.778-782
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206789
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■はじめに
過度のアルコール性飲料(以下アルコールと略す)の摂取が,中枢および末梢神経系および肝に障害を来すことはよく知られているものの,アルコールが直接に,あるいは肝を場とするアルコールによる代謝異常を介して,全身の諸臓器に様々の障害を与えることについて,未だ一般の認識が浅いようである.時には神経系や肝の症状よりも,胃あるいは膵その他の臓器症状が前面に立つということも少なくない.またアルコールそのものの臓器障害作用に加えて,飲酒に伴う栄養の摂取不足およびアンバランスも諸臓器の器質的ならびに機能的障害に寄与していることもしばしばである.
本稿では①過度のアルコール摂取によってひき起される内科的疾患の概要②既存の内科的疾患に及ぼすアルコールの影響③臓器障害を来さないような適正飲酒のあり方④内科疾患患者に対する適正飲酒の必要性と飲酒指導のあり方について論述する.なお著者の専門が消化器病学である関係上,必然的に消化器疾患が重点となることをあらかじめお断りしたい.
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