特集 医学教育と保健所
「地域保健」実習14年
諸岡 妙子
1
Taeko MOROOKA
1
1東京女子医科大学衛生学教室
pp.102-105
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206475
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■インターン制度廃止により卒前の「地域保 健」実習へ
さきのインターン制度下では,臨床各科の実地修練が指定病院において行われるのと並行して,公衆衛生の臨地訓練が保健所において課せられていた.実地医家として地域保健を担当する医師の教育に,この「保健所実習の義務」は,臨床各科の実習と全く同等に,必要欠くべからざるものであり,臨床実習と公衆衛生実習,この両実習を終了してはじめて医学の基本的学習を終えたものとみなされ,医師国家試験を受ける資格が与えられたわけであった.
1968年,インターン制度が廃止され,卒後2年の臨床研修制度が導入されたが,関係者の努力にも拘わらず,保健所実習は組み入れられずに,卒後研修は発足した.当時,もし吾々が手を拱いておれば,卒後直ちに国家試験を受けて,医師として社会に送り出される医科学生の,医師として最も基本的な素養が欠如されることになる.翌年は医師として社会に迎えられる医学生のpublic health mindを養うのに,臨床訓練の場となる付属病院に当たる実習場所を,大学は持たない.そこで,東京女子医科大学では,東京都衛生局の諒解のもとに,最高学年の医学生を,これまで私自身が様々の機会にお世話になったり,御指導を受けたりした公衆衛生の先輩に当たる都保健所の所長方のおられる,地もとの牛込保健所をはじめとする都内若干の保健所に送り,公衆衛生——地域保健--の実習をお願いすることにした1).
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