講座 公衆衛生学の最近の進歩・8
環境保健(Ⅰ)—空気,気候,上下水,廃棄物処理
釘本 完
1
Mamoru KUGIMOTO
1
1信州大学公衆衛生学
pp.640-647
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206367
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■はじめに
生物と環境との関係は生物学においてもはなはだ重要な問題として,これまでにもそれについて多くの研究成果が見られるが,同時にこれは常に新しい問題を提起するものとして,今日でもなおきわめて重要な課題である.
環境衛生学は,環境と個体との干渉作用を人間を中心として研究し,それを記載し,またそのうちから法則を見出す学問であり,とくに理化学的環境の人間への作用を研究するのが,この学問の任務である.この場合,衛生学と生理学とを区別するのは,生理学が自然の観照に尽きるのに対して,衛生学ではさらに健康の維持・増進のための方策を見つけ出す点にある.したがって,そこには価値の比較があり,選択も出てくるとされている(環境衛生学・原島進).
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