特集 廃棄物処理—公衆衛生の課題
廃棄物処理と人間の環境
滝澤 行雄
1
Yukio TAKIZAWA
1
1秋田大学医学部
pp.835-838
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900475
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◆はじめに
近年,科学技術の著しい進歩および社会活動の多様化に伴い,従来にもまして多種多様の廃棄物が排出されるようになった.本来,廃棄物は,人間の活動に伴い必然的に発生し,最終的には自然の浄化力によって還元される.今日のように,人口の都市集中や生活の利便性は,その処理を,環境の受容能力に委ねきれなくなってきた.とりわけ,プラスチック,水銀電池等の処理困難な廃棄物の増加,ごみ焼却に伴うダイオキシンの発生などは,国民の関心ないし不安感を高めており,有害廃棄物の取り扱いが新たな課題となっている.
廃棄物の処理は,伝染病予防対策などの公衆衛生対策の一環として発達してきたが,近年,国民生活の快適環境の確保といった人間環境の保全対策の一つとして位置づけられている.
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