特集 産業衛生と地域保健
産業廃棄物処理と地域保健
平岡 正勝
1
1京都大学工学部衛生工学
pp.477-482
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205220
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I.はじめに
昨年,6価クロムを含む産業廃棄物問題が突如として新聞紙上で取り上げられ,さまざまな報道がなされた.そして政府は環境庁を中心に,関係6社9工場の実態調査を実施し,これら工場からこれまで排出されたクロム鉱さいの総量は約115万トンであり,このうち,廃棄物処理法施行前に処分されたものは約89万トンで,無害化しないで埋め立てられているものは約77万トンである,廃棄物処理法施行後に排出された約26万トンは処分基準に従って処分されているものとみられる,と発表している.
三木首相は,昨年8月22日の閣議の席上で,産業廃棄物に関する処理体制の見直しを指示し,これに呼応して,環境庁が中心となって,8関係省庁からなる産業廃棄物問題関係省庁協議会が設置され,今後の対策の方向について昨年11月25日に報告がなされている.田中厚生大臣は,昨年9月5日に現行廃棄物処理法の改正の方針を明らかにし,9月22日には生活環境審議会に法改正を含む産業廃棄物処理制度のあり方について諮問した.審議会では,その後,同審議会廃棄物処理部会の中に産業廃棄物処理制度専門委員会を設置して,具体的な検討に入り,12月11日に審議会の答申が厚生大臣あてになされた.
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