特集 食品衛生
農薬残留の最近の動向
武田 明治
1
Mitsuharu TAKEDA
1
1国立衛生試験所食品部
pp.380-384
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206311
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■はじめに
有機塩素剤による環境汚染および生態系に対する影響などについて著わしたカーソン女史の"Silent springs"は,環境に対する諸影響に関する正確な知識と情報のないままにその効用のみに注目して有機合成農薬の開発を推進してきた関係方面への強い警告であった.これらの問題の重要性が理解されるにつれ,農薬使用や農薬の及ぼす諸影響に関する科学的な調査・研究が学際的規模で始められた.これらの結果を基に,毒性の強いものや環境・食品汚染などの懸念のあるものについては,使用禁止を含む強い規制措置が先進諸国間で実施された.
近年の農業生産の拡大は生産技術の進歩に負うところが大きいが,農薬の貢献も見逃すことができないであろう.そこで,環境汚染の恐れが少なく,食品への残留性が低い農薬の適正な規則に従っての秩序ある使用へと進みつつある.
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