厚生だより
食品中の残留農薬許容量の設定について
pp.235
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203682
- 有料閲覧
- 文献概要
本年3月30日厚生省告示第109号で告示になった食品中(りんご,ぶどう,とまと,きゅうり)の残留農薬(ヒ素,鉛,γ-BHC,DDTおよびパラチオン)の許容量は,食品衛生法第7条第1項の規定に基づいて食品の規格基準として設定され,本年10月1日から過用されることになった(第1表)。食品中の残留農薬の問題は,近年農業技術の進歩と相まって新農薬の開発は目ざましく,農業生産に大きな貢献をしており,ここ十数年間に開発された有機塩素剤や有機燐剤をはじめとする新農薬の生産量は増加の一途をたどり,農作物の病虫害防除のため,毒性の強い農薬が多量使用されるようになった。このため,昭和27年〜28年頃から農薬撤布中の事故や管理上のミスによる事故が急激に増加しはじめた。またこの頃から撤布した農薬が食品中に残存し,これがために人体危害の発生が危惧されるようになった。たとえば,昭和29年に茨城県下でパラチオンの付着したきゅうりの漬物による事故が発生し,残留する農薬による食中毒が問題となった。また,米の中に残留する水銀に関連して人体毛髪中の水銀量の増加,外国における人体器官内におけるDDTなどの塩素剤の蓄積に関する報告などである。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.