資料
大学生に流行した風疹
山崎 力
1
,
藤田 宣士
1
,
糸賀 敬
1
,
宮崎 重武
2
1大分医科大学内科
2大分市医師会立アルメイダ病院内科
pp.813-817
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206199
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昭和51年4月から同年7月にかけて大分市内の一国立大学学生のあいだに風疹が流行した.受診した患者数は230名で,全学生の約8.4%であった.この学生にみられた臨床所見や,一部の学生で測定した風疹HI抗体価の推移などについて検討した.
(1)患者は5,6月に集中的に受診した.また男子寮の学生に最も多く75名に上った.1〜2年,特に1年生に有症者が多かった.
(2)男子29名,女子12名でpaired serumのHI抗体価を測定した.風疹の既往を有するものは5名いたが,HI抗体価に一定の傾向はみられなかった.41名中5名で初回血清HI抗体価8倍であったが,そのうち4名では第2回目の血清で128倍に上昇していた.
(3)学生の抗体保有状況は推定困難であった.不顕性感染が疑われるものも10名以上みられた.特に女子学生では在学中に風疹罹患の既往の有無を確認し,ワクチン接種該当者を発見することも重要である。
(4)明らかに発疹のみられた185名について主な臨床所見をみると,高熱,強い頭痛や咽頭痛などを訴え臨床的に重篤と考えられるものが9名(5%)みられた.腹痛や下痢を訴えるものも6名みられ,1名はそのため入院治療を要した.
(5)髄膜脳炎,関節炎,栓球減少性紫斑病などのいわゆる風疹合併症を併発したものはいなかった。
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