特集 公衆衛生における栄養
幼児栄養の問題点と対策
岡田 玲子
1
Reiko OKADA
1
1県立新潟女子短期大学栄養指導
pp.122-130
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206027
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■はじめに
満1年から小学校就学前まで(満5年)の幼児期は,それまでの乳児が独り立ちをし,乳児期に次いで速やかな発育を続け,運動は極めて活発になり,知識欲に目ざめ,精神的・知能的に急速に発達していくとともに,基本的な生活習慣が形成される時期である.
この成長,発育しつつあるものの栄養がいかにあるべきかということは,極めて基本的かつ重要な問題である1).さらに,人の生涯の心身の健康の礎は幼児期に形成される生活習慣にあるといわれ,なかでもこの時期の食生活の適否は重要であることが明らかになってきた.乳幼児時代に親から与えられた食物パターンが食習慣を形成する上で大きな要因となり2)3),引き続き18歳頃までに経験した味覚が人の生涯をとおして定着し4),これら食習慣や食嗜好は食物選択に影響し,その結果として生涯をとおしての栄養状態に反映されるものと推測されている5)6)7).J.Mayer8)は「こどもは大人の父であり,同様に老人は青年期および成人期のこどもであって,われわれは絶えず若いころにたちかえらなければならない」というスコットランドの医師兼栄養学者のR.C.Garryの意見を引用し,栄養および個人衛生の分野においてこれより真実なものはどこにもない,と述べている.
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