特集 感染病の国際的動向とその対策
サルモネラ症の最近の動向
斎藤 誠
1
1東京都立墨東病院
pp.856-859
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205980
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■はじめに
サルモネラは公衆衛生の分野では,急性胃腸炎型の臨床像を発現する感染型食中毒の病原として理解されている.このサルモネラ症は,ここ数年来,細菌性食中毒において第3位の病原として認識されているが,臨床における下痢症の分野では,1965年頃から増加の傾向を示すと同時に,質的にも大きな変貌を呈するに至った.それは菌型の多型化(国際化)と同時に,多剤耐性株の出現と浸淫,乳幼児サルモネラ症の増加,病院感染の病原として,本菌の注目などがこれに該当する.加えて,サルモネラ保菌者の著増は治療(除菌)を含み,その取扱いに一定の見解がなく,行政の分野で混乱をみせている.
このような現況を直視し,サルモネラ症を疫学的視野から,臨床にも触れながら述べてみたい.
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