調査報告
昭和52年・山谷地域宿泊者の緊急入院患者予後調査
木村 健一
1
,
阿久沢 節男
1
,
今村 昌耕
1
,
小池 昌四郎
1
,
汐田 弥太郎
1
,
鈴木 義雄
1
1東京都城北福祉センター健康相談室
pp.824-827
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205973
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Ⅰ.調査目的と方法
いわゆる山谷地域は,東京都の台東,荒川両区にまたがる,簡易宿泊所などが密集した地域の総称で,面積は約0.84〜1.7km2である.山谷地域の総人口は約40,100人と推計され,209軒の簡易宿所と約80軒といわれる簡易アパートを利用している推定宿泊者は,8,300人といわれている.そのうち男子は96%を占め,10人のうち9人が単身者であり,年代の中心は30歳代(昭和45年)から40歳代(同47年)へと老齢化の傾向にある.
山谷地域で宿泊する人たちが病気になった場合の治療を受ける方法としては,健康保険制度や労災保険制度で一般になされている方法とは別に,東京都城北福祉センター——荒川・台東福祉事務所の連絡による医療体制がつくられている.城北福祉センターの健康相談室では,毎年延べ4〜6万の人々の無料医療に当たってきた.その内訳は,肝・消化器疾患が約30%,労働・交通災害および泥酔による外科あるいは整形外科疾患が約30%,呼吸器疾患(その半数が肺結核)が15%,老人病を含む心臓・高血圧疾患が約10%,その他が15%である.その多くの疾患は,アルコールと無縁とはいいきれない.
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