特集 第19回社会医学研究会総会記録
要望課題 地域保健医療における公的責任と保健医療従事者の役割
(その2)保健医療従事者の役割と住民参加のあり方をめぐって—(演題15〜17)—地域医療の民主的発展と保健医療従事者
朝倉 新太郎
1
,
金田 治也
1
1大阪大学・公衆衛生
pp.778-780
発行日 1978年12月15日
Published Date 1978/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205734
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
15.保健医療行政の後退をねらう自治体と住民運動―佐久間町における住民運動―
村瀬好美・海老原勇(山香診療所新守る会)
佐久間町(人口1万人,山間に小集落が点在する町.国保直診病院1,同診療所2,開業医1あり)では,不況下における町の財政難を理由として,診療所医師の退職を契機に診療所を出張診療所に格下げし,町の中心部にある直診病院を僻地中核病院とする動きが生じた.これに対して「診療所を守る会」が結成され,多数の住民が参加し,町当局の構想の撤回を要求した.運動の過程で町当局の圧力によって,会員の多くは運動から離れたが,残った数人と医師たち(新守る会)は「じん肺患者同盟」の支部と連合して,宣伝,抗議,陳情を続け,ついに常勤医の勤務を町当局に認めさせるに至った.しかしその後,定年制の導入が図られ,その条件についての改善を勝ち得たものの,住民運動の主役となった診療所の保健婦,看護婦各1名は,退職を余儀なくされた.保健婦は3名から2名となり,医療は後退している.財政難のもとで医療を守るために,住民運動の必要性を痛感する.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.