特集 新しいヘルス・ボランティア
新しいヘルス・ボランティア
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.356-357
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205615
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近頃,さまざまの分野でボランティアの問題が改めて注目され,盛んに論議が行われている.改めて,というのは,この問題はすでにわが国においても新しいものではなく,特に戦前の社会事業の分野などにおいては,ボランティアと呼ばれるにふさわしい活動事例が少なくなかったのであり,今日の状況下におけるこの問題の論議に,改めて,という実感が強いからである.
本来,ボランティアの精神やその実践としての諸活動は,主として19世紀末葉以来,キリスト教的伝統に培われた西欧諸国にはじまったものであり,わが国においてもその特質から戦前にはもっぱら社会事業の分野でみられたものである.戦後は,新憲法下の新しい社会環境の中で,とりわけアメリカ的文化の強い影響によって,さまざまの新来語とともに保健・福祉の領域にもアメリカ的な考え方や活動が導入され,公衆衛生の分野においてもボランティアという言葉と活動が,深くその本旨を掘り下げることもなくとりあげられるようになったといえる.
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