特集 脳卒中予防教育
地域における健康管理—脳卒中予防教育(血圧管理)を中心として
大月 邦夫
1
1群馬県藤岡保健所
pp.90-96
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205556
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はじめに
わが国に多発する脳卒中の多くは,高血圧と密接な関連を有すること,さらに高血圧の管理が脳卒中発症予防に極めて有効であることは,数多くの疫学的研究や動物実験成績,臨床的観察などによって明らかにされてきた.したがって,成人循環器疾患の中心たる脳卒中予防においては,高血圧対策が最も重要であり,住民の血圧のコントロールをいかに実施していくかが,地域健康管理の最大の課題であるともいえよう.併せて,高血圧を中心とする循環器疾患は,加齢とも関連する超慢性疾患であるが故に,自然的,地理的条件や経済的,社会的な生活環境などの地域的因子が,高血圧の進展,脳卒中の発症と密接な関連を有することが明らかにされつつある.
脳卒中の発症防止,高血圧の予防,健康な老後のためには,このような地域的因子を十分に加味しつつ,①健康レベルを定期的にチェックするための定期的健康診断,②血圧のコントロール(合併症予防)のための適切な医療と正しい養生(摂生)の継続,③積極的な健康増進のための,バランスのとれた食生活や運動,休養,ストレス対策,等々,総合的な健康管理活動が必要である.そして,これら成人健康管理の意義をあらゆる活動を通して,患者や住民に十分認識させることはもちろん,「至適な健康習慣」の自主的育成をめざして,「より科学的,より具体的,より適切な」支援活動を実践することが,地域における脳卒中予防対策の基本的な考え方であると思われる.
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