日本列島
グルタミン酸ナトリウムの多量摂取による食中毒事例について—沖縄県
伊波 茂雄
1
1沖縄県環境保健部
pp.647
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205464
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昭和51年7月6日那覇市内において,昼食会の中華料理により成人女子23名全員が,顔面のひきつり,後頭部のしめつけ感,手足のしびれ,嘔気などを主症状とする食中毒症状を起こした.この食中毒の発症は食事中に始まり,2〜3時間以内に回復していることから,グルタミン酸ナトリウムに起因する,いわゆるChinese Restaurant Syndromeが疑われた.なお,23名のうち重症2人は,回復までに2〜3日を要した.
摂取食品についてグルタミン酸ナトリウムの含有量をしらべたところ,スープから7.1%,推定含有量(摂取量)は7〜11gであった.空腹時に1〜12gを経口投与すると,顔面および身体の赤熱,顔面圧迫感,胸痛,頭痛が起こるといわれており,3〜5gでも発症することが確認されているが,今回の摂取量はこれらの2倍以上の量に相当し,十分な発症量と考えられる.他の原因となるものについての調査では,特別な異常値は見つからず,結局このケースは本県における,おそらく初めてのグルタミン酸ナトリウムの多量摂取による食中毒の事例と思われる.
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