特集 脳卒中予防
臨床的立場からみた脳卒中予防の問題点
伊藤 敬一
1
,
冨永 詩郎
2
,
川上 倖司
2
,
沓沢 尚之
2
1国立循環器病センター・内科
2秋田県立脳血管研究センター・内科
pp.626-629
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205459
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はじめに
脳卒中のrisk factorとして,これまで種々のものがあげられているが,高血圧が脳卒中に対する極めて重要なrisk factorであることは,誰しも異論のないところであろう.臨床的立場からいっても,脳卒中の予防のためには,まず何をおいても高血圧の治療が優先することは論をまたない.しかし,このような脳卒中に対する予防対策にしても,臨床のむずかしさは,その対策があくまでもman to manとしての立場で取り扱われねばならぬ,ということにある.
このことは,例えば脳卒中は高血圧者から多発するといっても,必ずしもそうとは限らず,集団検診などでの血圧測定に際して高血圧を指摘されていないものからも発病することがあり,あるいはまた,高血圧の治療をうけ血圧がcontrolされていると考えられるものからも,時には発病することがある.臨床的にはこれらの問題についても,当然目を向けねばならない.なぜなら,このようなグループからの発病の頻度は確かに低いが,発病者自身にとっては,その発生率は100パーセントだからである.
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