特集 地域保健医療計画の実際
地域保健医療計画と救急医療
岡村 正明
1
1神奈川県立衛生短大
pp.60-66
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205327
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はじめに
地域住民の健康と生命を守るためには,その全体的な医療システムの中に,どうしても事故や災害あるいは突発的な疾病等で緊急に医療を必要とする場合についての,いわゆる救急医療サービスシステム(Emergency Medical Service System,以下E.M.S.S.と略称することにする)が確立していなければならない.しかしながら,このE.M.S.S.は,患者の病状に応じて緊急かつ適切に対応しなければならない.このような事態の発生は,昼夜間,休祭日を問わず,その発生が人間の行動するあらゆる場所におこるということ,また性・年齢等に関係なく,何人であってもそのような状態になる可能性があり,しかもその病態は,すべての種類の外傷から急性の中毒,その他不慮の事故などのように外因性の疾病から,内因的な急性疾患が新生児から小児・青壮年あるいは老齢者にまで多種多様に及び,さらに分娩周辺期の問題などきわめて広い範囲にわたっている.一言でいえば,地域住民の"だれでも"が"いつでも","どこでも"適時・連切に,その病状に適応して緊急の医療を享受できるような体制を維持・確保することは,単に供給側の医療従事者からだけでなく,いろいろの面から相当の困難性をともなってくる.しかも,このような困難性のあるシステムを単に全体的な医療システムの中での平常体制の枠内で取り扱うとすると,いっそうの混乱を生じてしまう懸念が大変強くなる.
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