特集 親子
捨て子,子殺し
村松 博雄
pp.546-547
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204900
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いつの時代でも捨て子,子殺しはあった.あるひとつの村が飢饉に陥っている時,村の長は,そこに産まれてくる新生児の生存権を一手に握っていたとも考えられる.古代ローマにおいては,その族長の権利は,食糧の不足とは全く関係なしに行使されたとさえいわれている.
更に時代をさかのぼり,ギリシャ時代ともなると,捨て子,子殺しは人種優先の思想にうらづけられていた.病弱な子どもは,新生児の時期をすぎさっても遺棄される宿命にあった.
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